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現場力インタビューVol.14「もしもに備えて~災害後の事業計画~」 大田区 子ども家庭支援センター六郷 センター長 大塚 泰恵さん

ソシオークグループの「現場力」とは

「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。

 

センター長の大塚 泰恵さん(左から2人目)とキッズな六郷の皆さん

 

大田区の六郷地区にある子ども家庭支援センター六郷(愛称:キッズな六郷)は、ソシオークグループで年に2回、特に素晴らしい取り組みが表彰される「現場力アワード」において、2021年度上半期にグランプリを受賞、下半期には今回の現場力「もしもに備えて~災害後の事業計画~」で特別賞を受賞し、2期連続の受賞となりました。

下半期の現場力である、災害時でも保育を継続するBCP(事業継続化計画)について考えるようになったきっかけや、連続受賞となった現場は普段どのように現場力に取り組んでいるかなど、センター長の大塚泰恵さんにお話を伺いました。

 

2021年度上半期グランプリ作品「登録説明システム化で感染症対策」はこちら(https://socioak.com/newsroom/20211221/

 

――年度内に2度連続の受賞、おめでとうございます。まず、地域に寄り添う子ども家庭支援センターとしてのキッズな六郷の特徴について教えていただけますか?

 

大田区は、田園調布から羽田辺りまで広がる、都内で一番大きな区です。子ども家庭支援センターは区内に4か所あり、六郷の他は、洗足・大森・蒲田があります。

六郷辺りは下町の雰囲気があって、昔からずっと住み続けている人も多いと感じます。地域力が高い街なので、地域の人たちと一緒に子育てするという気持ちを忘れず、地域に根付いていけたらと思っています。

 

――今回受賞した現場力は、災害時でも保育業務を継続する計画の策定という内容ですが、それについて考えたきっかけを教えてください。

 

きっかけは、危機管理研修を受講した社員がBCP(事業継続化計画)のことを知って、キッズな六郷の全社員に共有したことでした。避難訓練は毎月行い、施設内から外に避難する練習はしていましたが、被災した後に、どのように業務を継続するかについては想定したことがなかったと気付いたんです。

 

――そこからどのように計画を策定していきましたか?

 

被災後の3日間を想定し、業務を継続して早期復旧を図るための計画を立てました。みんなで話し合っていくと「防災備蓄は、人数分の3日間の食料を確保できているだろうか」「交通機関が麻痺したときの人員配置はどうしようか」などと、さまざまなことを想定した意見が出てきました。

人員配置は、各社員の家庭事情もヒアリングし、話し合いながら決めていきました。被災した後に人員配置を決めていたとしたら、皆さん当然自分の家庭が大切なので、不満や摩擦が出てきたと思うんですよね。被災前に話し合うことでそれぞれの立場や事情を考慮しながら冷静に配置できますし、被災時にも配置通りスムーズに動くことができます。

 

(BCP策定例)

 

また計画策定を進める中で、キッズな六郷は地域力推進センターの3階に入っているため、被災時にエレベーターが止まった場合は、乳児をおんぶして階段を使って避難することが想定されました。その際、乳児を前後に抱えることは二次災害の恐れがあり危険なので、乳児1人の避難に対して社員が1人必要になり、人手が足りなくなることが懸念されました。そこで、1階に入っている大田区の出張所の方に「避難が必要なときはヘルプをお願いできませんか」とご相談したんです。すると快く引き受けてくださり「いざというとき、すぐに動けるようにしたい」と言ってくださったため、おんぶ紐の結び方をレクチャーさせていただきました。

 

――今回の現場力に取り組んだことは、日頃の業務にも何か変化をもたらしましたか?

 

話し合いの中で各社員の家庭事情を聞けたことは、日頃の業務の中での配慮にもつながって、良かったなと思います。「高齢のお母さんと暮らしているからすぐに帰りたい」「小さい子どもがいるけれど、父親がいてくれるからそれほど心配はいらない」などの詳しい事情って、知っているようで意外と知らなかったんですよね。毎日の通常業務でも配慮し合えるようになったことで、それぞれの社員の働きやすさにつながったのではないかと感じます。

 

 

――2021年度上半期に続いての現場力アワード受賞のご感想をお聞かせください。

 

上半期の「登録説明システム化で感染症対策」ではグランプリだったのですが、現場力アワードで賞を頂いたのはこの時が初めてで、なおかつグランプリということで非常に驚きました。社員全員のモチベーションも上がり、現場の雰囲気が意欲的になりましたね。下半期もより一層頑張ろうというモチベーションで取り組んでいたら、特別賞を頂けました。本当にありがたい1年だったと思っています。

 

――キッズな六郷では、普段どのように現場力に取り組んでいるのでしょう?

 

日頃から業務の中で気が付いたらすぐ改善することが当たり前になっているので、それを現場力レポートにまとめています。日常的に「今日こんなことがあったからこう変えてみよう」というやり取りがあり、改善をしてから「あ、これ現場力だよね」と気付いてレポートにまとめるという流れができています。今回のように研修からヒントを得るなど、現場力提出のために特別に何かをしているわけではなく、日々の業務の中で現場力が生み出されています。

 

――日々の業務だけでも忙しいと思いますが、改善って時間もかかるし大変なことだと思います。そんな中で改善を重ねていくために心掛けていることはありますか?

 

何か意見が出たときにふわっとさせてしまうのではなく、じゃあそれを改善するために、何をいつまでに実行するか、というところまでその場で決めるようにしています。その場で時期まで落とし込むということが大切だと思います。

 

――キッズな六郷で、現場力において大切にしていることはありますか?

 

日々の業務を何より大切にしています。ご利用者様にとって安全・安心で過ごせるような環境にしていくとか、幅広い視点を持って子育て支援に取り組むという意識を、日常的に社員全員が持つこと。それが現場力誕生につながると思います。